2022.09.26
顧客事例
土地の一部を他人へ貸している状態で相続が発生したら?
■ご相談
両親(80歳後半)が暮らしている土地(約160坪)の一部(約60坪)を、30年以上前から親戚へ貸しており、今も親戚がそこで暮らしています。
3年ほど前には、契約を更新したと聞いております。
もし両親が亡くなり、私が土地を相続した場合には、この権利はどうなるのでしょうか?
また、親戚に出て行ってもらう場合は、立ち退き料などを支払わなければならないのでしょうか?
それとも、何か事前の対策などあるのでしょうか?
■回答
現状で、すでに借地権が存在しているようですので、出て行ってもらうのは容易ではなさそうです。
■内容
将来、自分が親の不動産を相続した後について、漠然とした不安があったそうです。そして以下の点についてご質問頂きました。
・もし親戚に出て行ってもらう場合には、立ち退き料を支払わなければならないのか?
・今のうちから、何か事前対策が出来ることはあるのか?
しかし回答に記載した通り、すでに借地権が存在しているようです。
もしそうだとすると、そもそも「立ち退き」という問題ではありません。
「借地権」は「物権」ですので、「売買」をすることが可能な権利です。
よってこのような場合、借地権者に立ち退いてもらうには、地主が借地権を買い取ることになります。
しかし、その借地権価格を決めるというのはなかなか難しいです。
そのような際は話し合いで決めるか、または不動産鑑定士に客観的評価をして貰うのも有効な手段のひとつになります。
今回のご相談で、直ちに何かを進めることは無さそうでしたが、今後のために以下の点を確認しておくことをお勧めしました。
・ご親族とは、どのようなご関係なのか?
・地代は幾らくらいなのか?(固定資産税+都市計画税と比べて何倍くらいか?)
・契約書は存在するのか?
このように、いずれご親戚と借地権について話し合うことを想定して、つねに現状を把握できるように備えておくと良いでしょう。
■ご参考
借地権とは、建物所有の目的で他人の土地を借りる権利のことです。
他人の土地を勝手に利用することは違法ですが、借地権を設定することによって、安全に他人の土地を自分のために利用することができるようになります。
そして、この借地権は、2つの種類に分けることができます。1つは地上権で、もう1つが土地賃借権です。
地上権とは、他人の土地を利用する権利のうち、物権的な権利です。
物権は、当事者だけではなく誰にでも主張することができる権利で、権利者が自由に処分できる権利です。
これに対し、土地賃借権とは、他人の土地を利用する権利のうち、債権的な権利です。
債権は、物権と違って契約当事者間でしか主張することができず、権利者は相手の承諾がないと自由に処分することはできないものです。
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