2026.07.17
不動産売買
うっかり買ってしまった「違法建築」の不動産、今度どう活用すればよい?
違法建築の不安を整理し、最適な資産整理の方向性を明確化
コンサルティング概要(Before → After)
ご相談前(Before)
* 建物の一部が違法建築であることに気付き、不安を抱えていた
* どこまでが違法なのか分からず、改善できる可能性も判断できない
* 違法部分だけを撤去すれば活用できるのではないかと考えていた
* 将来の活用方法や売却の可否について判断材料がなかった
コンサルティング後(After)
* 建物全体の法的状況を整理し、現状を正確に把握
* 違法状態の解消が極めて難しい理由を理解
* 建物を貸し出す場合の法的リスクも明確化
* 建物活用よりも土地として売却する方向性が最適であることを確認
* 今後の売却手続きについて継続的なサポートを受けながら進める方針となった
柴総合計画では初回無料相談を行っています

◇コンサルティングの詳細
1)相談者の状況
ご相談いただいたのは、40歳代後半の男性です。
戸建住宅と倉庫が一体となった不動産を購入したものの、購入後に建物の一部が違法建築である可能性が判明し、「このまま所有し続けても問題はないのか」「違法部分を直せば活用できるのか」と、大きな不安を抱えておられました。
購入前には不動産会社へ建物の状況を確認したものの、明確な説明はなく、「おそらく問題ないのではないか」という曖昧な回答にとどまっていたとのことです。
そのため、購入後に建築の履歴を調べるうちに違法性への疑問が強まり、専門的な視点から現状を整理し、今後どのような選択をすべきかを知りたいとのことで、ご相談いただきました。
不動産の概要
相談者
- 40歳代後半・男性
- 個人所有
対象不動産
- 木造戸建住宅兼倉庫
- 東京都内所在
建物の経緯
建物の資料や過去の記録を確認すると、次のような経緯が読み取れました。
- 昭和20年代に木造住宅を新築
- 昭和40年代に倉庫へ建て替え
- 建て替え時に既存住宅を十分に撤去しないまま倉庫を建築した可能性が高い
- その後、倉庫の上部へ確認申請を行わず増築
相談者ご自身も、増築部分については違法であるとの認識をお持ちでしたが、それ以前の建築経緯については判断できず、「違法部分だけを撤去すれば適法化できるのではないか」と考えておられました。
2)抱えていた問題
今回の課題は、単純に「違法建築を取り壊せば終わる」というものではありませんでした。
建物が長い年月をかけて増改築を繰り返してきた結果、建築当時の経緯や法的手続きが複雑に入り組み、現状を正確に把握すること自体が難しい状態でした。
また、現地の建物配置にも大きな問題がありました。
古い住宅部分は倉庫の奥側に位置しており、倉庫を残したまま住宅だけを解体することは、構造的にも施工上も極めて困難と考えられる状況でした。
主な課題は次のとおりです。
- 建物全体の違法性が整理できていない
- 違法部分だけを撤去すれば改善できるのか判断できない
- 建物の配置上、一部だけを解体することが現実的ではない
- 今後も所有を続けるべきか判断材料がない
- 賃貸活用した場合の法的責任が分からない
- 購入時の説明不足について法的責任を追及できるのか判断できない
私たちは、このような案件では、「違法建築かどうか」という一点だけを見るのではなく、建築の経緯・建築基準法上の位置付け・建物の構造・将来の活用方法・経済合理性まで含めて総合的に判断することが重要だと考えています。
3)コンサルティングを提供するために確認したこと
まずは建物の現状を正確に把握するため、お送りいただいた資料や建築履歴を一つずつ確認しました。
確認した主な内容は次のとおりです。
- 建物の建築年代
- 建て替え時の建築概要
- 増築の経緯
- 建築確認の有無
- 建物配置
- 現地の構造的な状況
- 解体の実現可能性
- 建築基準法上の考え方
- 将来的な活用方法
- 売却時に想定される影響
その結果、昭和40年代に倉庫へ建て替えた際、既存住宅を撤去せずに建築した可能性が高く、その時点ですでに建築基準法上の問題を抱えていたと考えられました。
さらに、その後の無確認増築によって違法状態が重なっている可能性が高く、現在は建物全体が違法状態であると判断せざるを得ない状況でした。
私たちは、法令上の可能性だけを説明するのではなく、「現実的に改善できるのか」「改善費用に見合うのか」という視点も重視して検討しました。
4)コンサルティングを実行した流れ
① 現状分析
建築履歴や建物資料を確認し、違法状態となった経緯を整理しました。
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② 法的リスクの整理
建物全体について建築基準法上の考え方を説明し、増築部分だけを撤去しても問題は解消しない可能性が高いことをお伝えしました。
↓
③ 改善可能性の検討
現地の建物配置や解体方法を踏まえて検討した結果、既存住宅のみを撤去することは施工上も費用面でも現実的ではなく、違法状態を改善して建物を活用することは極めて難しいと判断しました。
↓
④ 将来の活用方法を提案
建物を第三者へ貸し出した場合には、所有者として法的責任を問われる可能性があることをご説明しました。
また、購入時の重要事項説明についても資料を確認したところ、価格や説明内容を総合的に考えると、大きな損害賠償請求が認められる可能性は高くないことをご説明しました。
そのため、多額の費用や時間をかけて法的紛争を行うよりも、今後の資産価値や経済合理性を重視した判断が望ましいとお伝えしました。
私たちは、感情論ではなく、法的リスク・経済性・将来性を総合的に比較した結果、「建物として活用する」よりも、「土地として売却する、または建物を建て替える」という方向性が現実的であるとご提案しました。
↓
⑤ 今後の方針を決定
相談者様ご自身も現状を十分に理解され、違法状態の改善が難しいのであれば、無理に活用を目指すのではなく、土地として売却する方向で進めることを決断されました。
5)コンサルティング後の感想
相談者様からは、次のようなお言葉をいただきました。
「色々と疑問だったり、なんとなく不安だったりしたことが、すべて解消されました。もし違法性が解消できないのであれば、このまま売却する選択肢を選びたいと思います。引き続き、どうやって売却へと進めたら良いか、相談させて頂きながら進めていきたいと思います。このたびは、本当に有難うございました。」
違法建築が関係する不動産は、建物だけを見ても、土地だけを見ても適切な判断はできません。
私たちは、建築基準法や建築の経緯だけでなく、解体の実現可能性、費用対効果、将来の法的リスク、資産価値まで含めて総合的に検討し、お客様にとって最も現実的で納得できる選択肢をご提案しています。
「建物を残すこと」が最善とは限らず、「早期に方向転換すること」が資産を守る最善策となるケースもあります。本件は、将来の大きなリスクを未然に防ぎ、ご相談者様が安心して次の一歩を踏み出せるようになった事例となりました。