2026.04.13
賃貸管理・不動産経営
自社で所有する不動産に届いた、建築基準法の適合調査通知とは?
■ご相談
創業80年を超える印刷会社の取締役管理部長です。今般、築40年超の自社所有倉庫に査察が入り、「建築基準法の適合調査結果」を報告するよう通知が届きました。これはどういうことなのでしょうか。
■回答
適切に調査を行い、結果を報告する必要があります。
そして、不適合箇所がある際には是正を行わなくてはいけません。
今回の通知は、潜在的なリスクを可視化して是正する、絶好の機会と捉えましょう。
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■内容
このたび「建築基準法の適合調査結果」の報告要請が届いたということは、行政が当該倉庫について現行の建築基準法に照らして安全性・適法性についての懸念が示されていると言えるでしょう。
新築時には「適法」だった建物も、その後の法改正により「既存不適格」となっているだけでなく、増改築や使いかたの変更が行われている場合には、気づかないうちに「違反状態」となっていることも多く見られるために、特に築年数が古い建物は調査の対象になりやすいのが実情です。
重要なポイントは、大きく3点あります。
ひとつ目は、これまで説明した通り「法令違反」が発覚するリスクです。
例えば、無届けの増改築によって、容積率や建ぺい率の超過などがあると、「違法建築」の状態となります。また、倉庫を作業場として使用しているなど「用途の変更」をしている場合も「違法状態」の建築物としてみなされます。
これらには、行政から是正命令や使用停止命令が出される可能性があります。最悪の場合、使用停止命令が出されると是正されるまで使用することは出来なくなり、事業活動にも大きな支障が出ることになります。
既存不適格建築物として注意が必要なのは、耐震性能の検証です。建築基準法における耐震基準は1981年(新耐震基準)を境に大きく変わっており、それ以前に建てられた建物は地震時の倒壊リスクが高い可能性がある場合があります。
2つ目は「他の法令違反」にも波及しているリスクです。
特に注意すべきは消防法です。建築基準法と消防法は密接に関連しており、例えば以下のような問題が連動します。
* 消火器・スプリンクラー・自動火災報知設備の未設置や不備
* 防火扉・防火区画の不適合
* 避難誘導灯や避難経路の不備
これらは消防署の立入検査で指摘される可能性もあり、違反している場合には改善命令や罰則の対象となります。
さらには、労働安全衛生法、住宅宿泊事業法、旅館業法、食品衛生法などの法令にも関連して抵触している場合があります。
そして3つ目は「人命・安全」に対するリスクです。
法令違反の建物は、構造や設備が安全基準を満たしていない可能性があるために、人命にかかわる重大リスクを伴うこともあります。
違法な増改築や用途変更により避難経路が確保されていないなど、これらが原因で逃げ遅れによる被害が拡大する恐れがあるからです。
これらを企業経営の視点で捉えると、違反状態の建築物をそのまま使用し続けると、事業継続に対する不安、事故発生時の損害賠償リスクの増大、保険不適用、社会的信用の毀損といった重大な経営リスクに繋がることが解ると思います。
これらへの対応としては、まずは建築士による現況調査、いわゆる法適合状況の洗い出しを早急に実施し、是正の優先順位を整理することが重要です。
その上で、行政と協議しながら現実的な改善計画、場合によっては段階的是正などを策定するのが一般的です。
すなわち、今回の通知は「問題の指摘」というよりも、潜在的なリスクを可視化して是正する、絶好の機会と捉えることが重要です。
早期に適切な対応を行うことで、結果的に企業価値と安全性の向上につながります。
今回は、一般法人の管理部門責任者からのご相談でした。
このようなご相談は、一級建築士事務所登録のある不動産会社へご相談されることをお勧めします。