2025.09.29
不動産売買
「違法建築」は変えられる?「建物の遵法性」とは何か
1.建物の遵法性とは
「建物の遵法性」の確認とは、その建物が関係法令や条例、基準などに適合しているかどうか確認することを示しています。
建物が、建築基準法や都市計画法、例えば容積率や建ぺい率、用途地域の規定など、関係する法令に従って建築され、利用・管理されているかが問われます。
そして、これらが守られていない建物は違法状態となり「違法建築」と呼ばれることになります。
なお、遵法性の確認とは、建物を新築する際の建築確認申請の点検だけにとどまりません。建物の使用中においても、改築・用途変更・増築などの際には、再度関係法令への適合性が問われます。
また、建築当時の法令には適合していても、現行法令には適合していない場合もありますが、こちらは「既存不適格建築物」として扱われ「違法建築」とは異なります。
違法建築や違反建築物は、行政から是正命令や使用制限を受ける可能性があるだけでなく、事故や災害時に大きな責任問題に発展するリスクを孕んでいるため、不動産の所有者にとっては保有・利用・取引において極めて重要な要素となります。
2.なぜ、企業不動産において遵法性の確認が重要なのか
企業にとって不動産は、単なる資産ではなく、事業活動を支えるインフラであり、経営戦略の一部となります。
オフィス、工場、店舗、倉庫など、さまざまな形で企業活動と密接に結びついています。
こうした企業不動産(CRE: Corporate Real Estate)において、遵法性が重要視される理由は以下のような点が挙げられます。
① 法的・社会的責任
企業は社会的責任を負う存在です。
もし違法な建築を保有・使用していたことが発覚すれば、企業のブランド価値や信頼性が損なわれ、顧客離れや株価の下落といった形でダメージを受けることもあります。
さらに、労働安全衛生法違反や火災・倒壊などによる人的被害が生じた場合、刑事責任や損害賠償責任を問われる可能性があります。
② 事業継続性の確保(BCP)
建物の遵法性が欠如している場合、行政指導や使用制限、最悪の場合は使用停止命令が出される可能性があります。
例えば、消防法に違反している建物で火災が発生すれば、営業停止に追い込まれるリスクがあり、企業活動に甚大な支障をきたします。
③ 不動産の資産評価・売却時への影響
遵法性が不明確な不動産は、金融機関による担保設定時や不動産売却時に大きな障害となります。
多くの金融機関は、違反建築物に対しては担保価値を認めずに、融資を拒否することが考えられます。
また、不動産売却時に法令違反が判明すれば、契約の解除や価格交渉、また損害賠償請求の対象となる可能性があります。
したがって、企業が保有する不動産の価値を適切に評価・活用するには、遵法性の確認と維持が前提条件となります。
3.遵法性の確保に向けた取り組み
企業が不動産の遵法性を確保・維持するためには、以下のような実務的な取り組みと書類の保管が重要です。
・新築・増築時の確認通知書、完了検査済証などの申請書類
・増築工事・改修工事などの工事記録
・定期報告制度(建築基準法第12条など)への対応記録
・防火設備、避難設備、消防設備の点検と報告
・その他、各種届け出書類
まとめ
建物の遵法性は、不動産の安全性・収益性・市場流通性など、あらゆる面において重要かつ基本的な観点です。
そして企業不動産においては、その社会的責任や事業継続性、資産価値を守るために、遵法性の確保が他の不動産以上に重要な意味を持ちます。
遵法性が曖昧なまま不動産を保有・運用していると、思わぬトラブルに巻き込まれ、企業経営に深刻な影響を及ぼすリスクがあります。
企業は不動産の遵法性について、戦略的かつ定期的にチェック・改善していくことが、健全な経営と持続的成長のために不可欠であると言えるでしょう。
柴総合計画では、「違法建築」「建物の順法性」について30分無料相談を行っています。
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